文部科学大臣賞
石川県立七尾高等学校
グループ名:SSC
「鏡に対するメダカ(Olyzias latipes)の反応と行動」
<講評> メダカの鏡像自己認知を行動学的に検討し、自己の認識という高度な機能についてその可能性を示した意欲的な研究です。鏡を設置した水槽をビデオカメラで撮影するというシンプルな実験系ながら、複数の水槽を組み合わせ、論理的・段階的な検討を着実に進め、かつ的確な統計解析によって結論を導き出したことが高く評価されました。難しいテーマに対し緻密な研究計画で挑戦し成果を上げた、文部科学大臣賞にふさわしい作品です。 |
厚生労働大臣賞
開成高等学校
谷澤 文礼
「睡眠の剥奪はショウジョウバエによる食物臭の嗜好性を変化させる」
<講評> 本研究は、睡眠と嗜好性の関連性をショウジョウバエで調査した研究です。睡眠妨害を与えるとショウジョウバエは元々の飼育環境の餌を好むようになることを示しています。ショウジョウバエに睡眠妨害を与えるための実験装置をご自身で開発したところも高く評価されました。本研究で確立された実験法は、今後も睡眠と生活習慣の関連性を極める手法として期待できることから、厚生労働大臣賞に相応しいと判断しました。 |
農林水産大臣賞
ノートルダム清心学園清心女子高等学校
生物部
「種子の発芽調整をもたらす要因 ~種子間で行われる静かなコミュニケーション~」
<講評> オオバコ種子の発芽調整機構について詳細を明らかにしようとした研究です。近縁種や他植物に与える影響を注意深く調べ、培地pHによる発芽調整活性の違いを見出すなど、興味深い結果を得ています。発芽は農作物を含む植物にとって重要な生理現象であり、この調整機構の解明は今後の農林業における有益な応用研究につながる可能性が高く、農林水産大臣賞にふさわしいと判断しました。 |
経済産業大臣賞
東京都立日比谷高等学校
岸田 彩花
「防カビ効果のある多糖ハイドロゲルの作成」
<講評> 水を長時間保持できるハイドロゲルを用いた植物栽培用ゲル培地の作製に挑戦する中で、カビが発生する問題に直面しました。身近な食品のうちアリシンを含むニンニクの絞り汁をハイドロゲルに少量混ぜると高い防カビ効果を発揮することを実証したことが高く評価されました。このゲル培地は、水の制約がある乾燥地や宇宙における農業への応用が期待されることから、経済産業大臣賞にふさわしい研究と判断しました。 |
環境大臣賞
兵庫県立小野高等学校
グループ名:スミレ班
「コミヤマスミレの謎を追う」
<講評> 本研究では、コミヤマスミレの生育環境の調査ならびに客観的な形態観察から、スミレ属における分類に疑問をもち、これまで日本のスミレの分類で例のないDNA配列に基づく解析を実施しました。フィールドワークを重ねて多くのサンプルを収集し、説得力のある系統解析結果から新たなスミレ属の分類を提唱したことを高く評価します。本手法を用いて野生絶滅種の調査も予定されており、自然環境保全や生物多様性に関する優秀な研究を対象とした環境大臣賞にふさわしいと評価しました。 |
科学技術振興機構賞
新潟県立新発田高等学校
グループ名:理数科 三年 微生物班
「未知微生物を探せ~水生植物からの単離培養~」
<講評> 本研究は、新潟市北部に位置する福島潟の水生植物から未知微生物の探索を行い、6種の新種微生物を発見しました。実験のプロセスでは、試行錯誤の後、培地の工夫を行うことで未知微生物の単離培養に成功しています。また、発見した新種微生物は公共の微生物株保存機関への登録も進めています。得られた知見をしっかりとした形で残すことは研究の重要な要素ですが、本研究はその見本だと言えます。今回得られた研究成果および研究に対する姿勢を踏まえ、科学技術振興機構賞に相応しい研究であると判断しました。 |
慶應義塾賞
東京学芸大学附属国際中等教育学校
大谷 碧
「セイロンベンケイソウの不定芽形成の仕組み」
<講評> 本研究ではセイロンベンケイソウの不定芽形成の原因物質が植物体の根で産生される物質であることを明らかにし、その物質がサイトカイニンである可能性を示しております。自ら立案した仮説に対して論理的に適切で、かつ、緻密な実験を計画・実行した結果、全体として非常に完成度の高い独創的な研究となったことが大きく評価され、また未来を先導する研究者となり得る人材であることから、慶應義塾賞にふさわしいと判断されました。 |
山形県知事賞
清風高等学校
グループ名:ミミズ班
「シマミミズEisenia fetidaを用いたヘドロ堆肥の開発」
<講評> 微生物を利用した落ち葉堆肥に対して、ミミズを利用することで圧倒的に早く有機物を分解できることを示した研究です。堆肥化にかかる日数の大幅な削減に成功し、生成される化学成分などを含めしっかりと分析できていました。また、本研究は自由な発想と緻密な試行錯誤を通して実験が遂行されており、研究者としての将来が期待できます。この研究成果は地域の生態系の保全に大きく貢献することが期待され、山形県知事賞にふさわしい研究と判断されました。 |
山形県教育委員会教育長賞
安田学園高等学校
川口 拓真
「ミツバチの記憶・学習能力は個体間の接触や情報伝達によって発達する」
<講評> 本研究は、ミツバチの学習能力や記憶の発達に、他個体との接触・情報伝達等の「コミュニケーション」が重要であることを明らかにした画期的な研究です。しっかりした評価系と着実かつ論理だった実験計画の中に、老若のミツバチをペアにして経験の伝承を検証する独創的なアイデアも加えられています。得られた研究成果は教育的・学術的に見て素晴らしいものであり、山形県教育委員会教育長賞にふさわしいと判断しました。 |
鶴岡市長賞
山形県立鶴岡南高等学校
小林 怜奈
「クマムシ誘引物質の探索」
優秀賞
山形県立村山産業高等学校
グループ名:農業部バイオテクノロジー班
「超促成栽培で山形のサトイモが変わる!」
米子工業高等専門学校
グループ名:B&C研究同好会
「廃棄卵殻の構造を活用したPM2.5吸着現象の解明と機能材料の創製」
宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校
グループ名:生物部
「オオイタサンショウウオの繁殖と保護を目指して」
静岡県立沼津東高等学校
グループ名:深海魚の腸内細菌叢の探索班
「深海魚の腸内細菌叢の探索」
静岡県立掛川西高等学校
グループ名:森のキノコ2020
「担子菌類の環境DNA検出による生育種の判別」
埼玉県立松山高等学校
グループ名:マツカサガイ班
「マツカサガイの遺伝的多様性と種分化」
佐野日本大学高等学校
染田 昌哉
「セミの生態~セミの羽化条件について~」
立教女学院高等学校
俣木 すず
「ニホンウナギAnguilla japonicaの性分化における 分子メカニズムの解明に向けて」
福島成蹊高等学校
グループ名:自然科学部
「ミカヅキモを用いた効率の良いSr²⁺吸収~汚染水処理を目指して~」
山形県立酒田東高等学校
菅原 さくら
「プラスチックを効率良く分解する海洋微生物の探索」
以上10点、順不同
審査員特別賞
清風高等学校 |
他に、優秀研究指導者表彰が5点贈られました。