3th
第3回大会(2013年度)
受賞作品一覧
農林水産大臣賞
シークヮーサーの機能性解析
生物資源研究会
国立沖縄工業高等専門学校
<講評>
自分たちが住む地域の問題発見をして、サイエンスの手法を使って解決を試みている素晴らしい研究。 産業廃棄物となっているシークヮーサーの種や皮を材料に、自らの手で、チロシンキナーゼの阻害活性 試験やHPLCによる成分解析をしている点は高く評価できる。また、季節変化を追ったカロテノイド類 の含有量解析は、身近にある対象と向き合っているからこその着眼点である。これらの科学的分析に よって製品に付加価値をつけ、学園祭などを通して社会に発信している姿も非常に魅力的である。今後、 予想を立てた果汁と果皮の成分比を明らかにしたり、他の柑橘類との比較を通してシークヮーサーの特徴 を明らかにしていくことが期待される。農林水産および食料に関する優秀な研究であり、農林水産大臣賞 に相応しい。
環境大臣賞
キノコを用いた廃棄物の有効利用にむけて
増山 七海
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
<講評>
地域で採取したキノコや身近な微生物である酵母を題材に環境問題やエネルギー問題に挑んだ意欲的な研究である。地元で採取したキノコであるヒイロタケとカワラタケがセルロース分解能およびリグニン分解能を持つというこれまでの研究成果を元に、分解の結果生じた糖をさらに酵母を用いた発酵により代表的なバイオ燃料であるエタノールの生産を試みるというアイディアに発展させており、着眼点は高く評価出来る。竹やおからなどの再利用を通じて自然環境の保護の重要性、また身近に存在する様々な特性を持った生物の利用を通して生物多様性の重要性を認識させる研究であり、環境大臣賞に相応しい。
科学技術振興機構賞
THAラットが有するNASH耐性の解明にむけて
安達 景都
山形県立鶴岡南高等学校
<講評>
「ある種のラット(THAラット)が脂肪性肝炎(NASH) になりにくい理由は何か?」という問いから出発した研究である。 本研究ではこの問いに答えるため、NASHを起こす原因の一つ と考えられている活性酸素に着目した。もし活性酸素がNASH を引き起こすならば、NASHになりにくいTHAラットの肝臓には、活性酸素のはたらきを抑える何らかの物質が含まれている のではないか?このように仮説を立てた安達景都さんは、ま ず、THAラットの肝臓にのみ多く含まれる代謝物質を複数発見 し、次いで、それらの代謝物質の中に、活性酸素のはたらきを抑え るものがあることを突き止めた。この成果は、今後の研究の積み上げにより、THAラットがNASHを発症しにくい理由を解明 する糸口となる可能性を秘めている。よって、科学技術の発展に寄与する可能性のある研究を対象とする科学技術振興機構賞に相応しい。
慶應義塾賞
ホップの抗菌作用を用いた研究とその実用性
齋藤 元文
山形県立鶴岡南高等学校
<講評>
本研究は、ビールなどに含まれるホップの抗菌性について、モデル微生物や口腔内細 菌叢を用いて評価した研究である。本研究から、ホップ単独での抗菌作用がグラム陽 性菌に作用するだけでなく、生姜や山椒といった抗菌性を有する食品成分とホップを 併用することで、ホップ単独や食品成分単独では効果が認められなかったグラム陰性 菌への抗菌作用を科学的に立証した点が審査員から特に評価された。また、食品添加 物であるメタリン酸ナトリウムとホップを併用することで、口腔内細菌叢の制菌にも 効果があることを実証したことから、口腔内の虫歯菌の増殖抑制にもつながる可能性 があるため、本研究は未来を先導するような独創的な研究に授与される慶應義塾賞に 相応しい。本研究の実用化に向けた今後の発展を期待する。
山形県知事賞
マコンブ養殖における新技術導入の研究
水産生物部
山形県立加茂水産高等学校
<講評>
受賞者らはマコンブを養殖するための種糸を作製する新規の手法を開発した。 山形県内では水温の低い冬季にマコンブを養殖することが可能だが、種糸を他県 から購入する必要があった。受賞者らは水族館に通年展示されているマコンブか ら配偶体を得て、これを裁断し、タコ糸に吹きかけることにより定着させて、種 糸を作製することに成功した。さらにワカメ養殖に用いられる海藻種糸巻付器を 改良し、種糸上に50 cm間隔でマコンブの幼体を定着させることに成功した。本研究の成果は山形県の水産業の活性化に繋がる可能性があると認められ、本賞の受賞に値する。
山形県教育委員会教育長賞
条件反射を用いたプラナリアの捕食実験
江村 翼
佐野日本大学高等学校
<講評>
本研究は、切断によるプラナリアの再生という伝統的な手法を用いて、神経と光刺激への応答の関連性を示した見事な仕事である。切断部位の検討も行っており、実験に対する試行錯誤の評価もできる。江村さんは研究への理解も深く、プレゼンテーションの構成も素晴らしかった。また、捕食により光刺激への応答の獲得日数が縮小したという結果を得て、何らかの作用により応答の獲得が間接的に起こることを示唆した点がサイエンスの観点から興味深い。この点をしっかりと証明できると、素晴らしい研究となると思われるため、今後の活躍に期待している。
鶴岡市長賞
カブトエビの劇的な発生現象を詳細に測定する
五十嵐 光
山形県立鶴岡南高等学校
優秀賞
カワニナを通して考える地域の生態系 ~伊自良川(いじらがわ)の実態に迫る~
池田 伊吹
岐阜県立岐山高等学校
産業廃棄物の有効利用法の研究 ~椎茸酒の製造と副産物を利用した菌床栽培~
食品加工部
長崎県立島原農業高等学校
アルビノメダカの原因遺伝子同定 ~2系統の原因遺伝子の同定とトランスポゾンTol1の生殖細胞での転移~
古賀 源
埼玉県立松山高等学校
ニワトリ胚を用いた分化誘導の可能性
松尾 采佳
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
審査員特別賞
天野 芽衣
山形県立加茂水産高等学校
水島 由貴
長崎県立島原農業高等学校
小林 聖莉奈
山村国際高等学校
齋藤 荘太朗
公文国際学園高等部
齋藤 愛華
山形県立鶴岡南高等学校
土田 雄大
山形県立鶴岡中央高等学校
成田 明未
羽黒高等学校
橋本 かれん
福島成蹊高等学校
宮里 春奈
国立沖縄工業高等専門学校