9th
第9回大会(2019年度)
受賞作品一覧
文部科学大臣賞
カスミサンショウウオの性フェロモンと受容体について
自然科学部生物班
岐阜県立岐阜高等学校
<講評>
カスミサンショウウオの行動観察から着想し、性フェロモンによる生殖行動の制御について明らかにした意欲的かつ完成度の高い研究です。産卵前後のオスの行動を制御する物質を抽出し、その物性、メス側の分泌器官、オス側の受容器官について明らかにされました。さらには近縁種にも効く性フェロモンという大変珍しい性質を突き止めました。加えて性フェロモンの物質分析や、受容体の決定についても分子生物学的検討を進めています。独創的なアイディアに基づいて綿密な実験計画を遂行し、大変レベルの高い成果をあげた、文部科学大臣賞にふさわしい研究です。
厚生労働大臣賞
多目的に利用可能な微生物殺菌剤
生物部
埼玉県立松山高等学校
<講評>
本研究では、植物の根から単離されたバチラス属菌の中から、植物病原性細菌および真菌に対する抗菌作用を持つ菌株のスクリーニングが行われていました。In vitroでの評価に加え、トマトでの感染予防効果、さらに、アレルゲンとなる病原真菌に対する抗菌作用についても検証されていました。本研究は植物だけでなくヒトへの応用という観点でも練られており、厚生労働大臣賞にふさわしい、素晴らしい内容でした。
農林水産大臣賞
フィリピンウォータークローバーの生態~水中葉ができるしくみとは~
生物部
ノートルダム清心学園清心女子高等学校
<講評>
フィリピンウォータークローバーの水中葉、水面葉形成に影響を与える因子について、一つずつ実験で検証して絞り込んだ研究です。隔離育成した実験の結果から水中葉形成に個体間の情報伝達が関与していると推定し、複数の植物ホルモンの投与実験から、成長抑制ホルモンの関与を示唆する結果を得ました。植物の生態を解明するためによく練られた研究を進めており、農林水産大臣賞にふさわしいと評価しました。
経済産業大臣賞
環境DNA定量解析を用いた生物分布モニタリングの確立~長良川・揖斐川におけるアユと冷水病菌の季節的相互関係を探る~
自然科学部生物班
岐阜県立岐阜高等学校
<講評>
環境DNAという既存の技術をただ利用するだけでなく、その技術を一歩先に発展させたことで、環境科学分野に貢献すると共に、岐阜県の魚がかかっている病気の要因を解明したことでから、地元の漁業に大きく貢献できる研究成果を得られたことから、経済産業大臣賞にふさわしいと判断しました。
環境大臣賞
スナヤツメ(Lethnteron.sp)のアンモシーテス幼生に見られる泥中での特異的行動
自然科学部生物班
鳥取県立鳥取西高等学校
<講評>
本研究は、魚好きな部員たちが日々淡水魚の調査をする中で、スナヤツメが砂に潜る際の特徴的な動きを発見したことから始まっています。砂の中での行動観察のために手法を工夫し、観察から唇の動きが重要であるとの仮説を立てた上で、上唇を欠損した個体との比較を行うなどは、合理的な実験を行い仮説を証明している点が評価されました。絶滅危惧II類に指定されているスナヤツメの行動特徴を発見し、さらにその原理を明らかにした本研究は、自然環境保全や生物多様性に関する優秀な研究を対象とした環境大臣賞にふさわしいと認められました。
科学技術振興機構賞
カブトムシ(Trypoxylus dichotomus)の全身透明化手法の開発
黒田 聞人
京華高等学校
<講評>
本研究では、カブトムシの全身組織を透明化するための技術開発に取り組んだ研究です。ほ乳類を透明化するCUBICという技術をそのままカブトムシに適用しても透明化はできないという先行研究の結果を考察し、昆虫の外骨格の成分が原因であるという仮説を立てました。その仮説に基づいて透明化技術の改良法を編み出し、見事カブトムシの透明化に成功しました。同様の技術は現時点で報告例がなく、世界初の成功例であることは素晴らしいです。透明化による内部組織の観察研究を発展させる新技術の創出した研究である点で科学技術振興機構賞に相応しい研究と判断しました。
慶應義塾賞
赤色LEDがカイコの幼虫の成長に及ぼす影響
市川 尚人
茨城県立並木中等教育学校
<講評>
本研究では、光がカイコの幼虫の成長に及ぼす影響を調べており、個体数も多くしっかりと研究がなされていました。検証項目を論理的に組み立てており、研究者として今後が非常に楽しみな人材であるといえます。慶應義塾賞に相応しい、未来を先導する独創性の高い内容でした。
山形県知事賞
柑橘類廃棄物を有効利用した椎茸菌床栽培法
食品科学部
長崎県立諫早農業高等学校
<講評>
本研究は、毎年出てしまう特産品である柑橘類の廃棄物をどうにか有効利用できないかと、別の特産品である椎茸の栽培に転用するという独創的な発想で解決をめざしており、その効果を科学的に実証するだけでなく、最終的に商品化まで達成したことは素晴らしい。この研究成果は地域活性化に大きく貢献することが期待され、山形県知事賞にふさわしい研究と判断されました。
山形県教育委員会教育長賞
音楽の種類がマウスの行動に変化を与えるか
奥山 映美
東京大学教育学部附属中等教育学校
<講評>
音楽の違いがバレエのパフォーマンスに影響したという自身経験を通して、音楽の種類がマウスの行動に及ぼす影響を科学的に調べた研究です。曲のジャンル、スピード、グルーヴの強弱、同一曲の楽器の種類を変えてマウスの行動量の変化を調べ、一部の条件では行動量が無音時に比べて有意に増減することを見出しました。肌で感じる感覚を印象だけで終わらせることなく、知的行動力によって科学的検証に結びつけた本研究は、教育的・学術的に見て素晴らしい研究に授与される山形県教育委員会教育長賞にふさわしいと判断しました。
鶴岡市長賞
がん細胞転移抑制効果を有する漢方薬の探索
今野 裕貴
山形県立鶴岡南高校
優秀賞
生物由来の炭酸カルシウムを活用した実用的な建築材料の開発
井田 彩音
米子工業高等専門学校
日本食、欧米食が大腸炎にもたらす影響
沖 梨咲子
東洋英和女学院高等部
線虫を用いたがん診断における大腸がん患者特異的尿中物質の特定
清原 海音
東京女学館高等学校
植物界頂上決戦 木本対草本 接着剤対決
髙橋 ひまり
豊島岡女子学園高等学校
発光周期とND5遺伝子からみるゲンジボタルの分布境界付近の生態と考察
冨田 敦幹
静岡県立掛川西高等学校
牛には牛の乳酸菌
山崎 恵理佳
東京都立多摩科学技術高等学校
審査員特別賞
市橋 優花
岐阜県立岐阜高等学校
遠藤 瑞季
福島成蹊高等学校
熊木 日向
埼玉県立松山高等学校
児島 朱香
東京都立多摩科学技術高等学校
佐藤 美結
三田国際学園高等学校
檀上 怜乃
市立札幌旭丘高等学校
成田 理菜
昭和薬科大学附属高等学校
西井 香奈
ノートルダム清心学園清心女子高等学校
廣瀬 彩邑里
兵庫県立小野高等学校
玄 理紗
東京都立科学技術高等学校
本宮 絹華
愛媛県立今治西高等学校
前田 彩花
ノートルダム清心学園清心女子高等学校
政井 菜々美
岐阜県立岐阜高等学校
松澤 あさひ
栃木県立佐野高等学校
松本 生成
鳥取県立鳥取西高等学校
森井 瑛都
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
山本 一輝
静岡県立掛川西高等学校
横口 美佳
山梨県立韮崎高等学校
石川 愛莉
山形県立鶴岡南高等学校
石本 菜々子
第一学院高等学校
島田 早織
東邦大学付属東邦高等学校
杉田 萌々子
三輪田学園高等学校
松尾 吏紗
St.George's International School in Switzerland
横山 景星
三田国際学園高等学校